こんにちは、コウノ工房のコウノです。
ファイルサーバーのドキュメント整備に苦労しています。
ドキュメントを社内で共有するには、メールやUSBメモリ、ファイル転送サービスでも可能ですが、手間がかかるのが難点です。そんなときは、オンラインストレージやNAS、大規模な企業であればファイルサーバーを導入するのが有効です。
ただ、ですね、シッカリルールを定めて運用しないと、資料が積もり・散らばりで、「最新版はどれ?」、「先週もらったプレゼン資料は、どこに行った?」が合言葉になり、生産性を落としてしまうこともあります。本記事では、現場がすぐ回せる最小限のルールを具体例を交えて解説します。
資料が散在してしまう理由と事例
まず、なぜドキュメントが散在してしまうのかを考えてみます。原因は複雑に見えて、実はシンプルで、以下の3つ主な原因です。
- 自由にフォルダを作ってしまう(アクセス制限がない)
- 古いものを消さない(棚卸しがない)
- ファイル名を自由に決める(命名規約がない)
利用者が自由にフォルダを作ってしまうと、同じ案件なのに似た名前の部屋が増え、同じ資料のコピーが保存される恐れがあります。同じファイルならまだよいのですが、片方だけが更新がかかり、差分が生じると、社内で同じ資料を見ているつもりでも、実は内容が異なっていたというトラブルが発生します。
意外と多くて忘れがちなのが、資料は定期的に消すのが大事です。2年前のドラフトが検索の上位に出続け、誤って使われることがありますし、そもそも、保存できる容量は定まっていますので定期的なクリーニングは必要です。また、ドキュメントの名前を自由に決めるのも推奨しません。ドキュメントは半角英数順で並ぶという特徴がありますので、関連度の高い資料が自然と並ぶような命名規則でドキュメント名を定めるのがよいでしょう。
資料が整備されていないことによるデメリット
原因を理解したら、放置した場合の“代償”を具体的に押さえておきましょう。散らかった状態は、単なる見た目の問題ではなく、時間の損失・判断ミス・法務/セキュリティリスクに直結します。
- 探す時間が恒常化し、生産性が落ちる
- 誤った版の利用で、判断・対外提出にミスが出る
- 重複ファイルで容量とバックアップ費用が膨らむ
“探す時間”は目に見えにくいコストです。1人が1日15分探し物に使い、20名のチームで月20営業日なら、15分×20人×20日=100時間/月が“ゼロ価値”の時間になります。
さらに、誤版提出は直接的な損失につながります。見積の旧条件を送って値引き前提で進んでしまった、古い規程を社内に展開して差し戻しが発生した——どれも再送や再説明で実務時間の二重取りが起こります。
重複ファイルは単なる容量の問題に見えますが、バックアップ・スナップショットの対象でもあるため、保管・復旧のコストを雪だるま式に増やします。
資料を適切に管理するために決めるべきルール
では、ここから先は、実務的なルールを具体的に解説します。ドキュメント管理に必要なことは、以下の4つです。
- フォルダ構成を定義する
- アクセス権限を付与する
- 命名規約を定義する
- 保存期間を定義する
それでは、ひとつずつみていきましょう。
フォルダ構成を定義する
まずは「どこに何を置くか」を全員が同じイメージをもてるように、入口と棚の並びを固定します。組織図(部門・課)やプロジェクトの単位など、長期間ほぼ変わらず社内の共通認識があるグループに沿って分けるのが基本です。加えて、就業規則や勤怠入力マニュアルのように全社員が参照する恒久ドキュメントの置き場も最初に決めておきます。
アクセス権を付与する
決めたフォルダ構成を“形のまま”保つには、誰がどこまで触れるかを先に固定しておく必要があります。構成そのものを勝手に増減できる状態だと、時間とともに必ず崩れます。あわせて、情報漏えいを防ぐ観点からも、参照範囲(閲覧)と更新範囲(編集)を最小限に絞る設計が重要です。
| 区分 | 閲覧 | 資料の追加編集 | フォルダの追加・更新 |
|---|---|---|---|
| 部門別フォルダ | 部門に所属するメンバー | 部門に所属するメンバー | 部門長 |
| プロジェクト別フォルダ | プロジェクトメンバー | プロジェクトメンバー | プロジェクトリーダー |
| 共通ライブラリ | 全社 | 指定管理者 | システム管理者 |
私の経験上、権限は必ずグループ単位で付与した方がいいです。個人に直接付けると、人事異動のたびに“付け外し漏れ”が発生しますし、メンテナンスが大変です。
命名規約を定義する
ドキュメント名・ファイル名は、どんな資料があるかが一目で分かる名前付けが重要なのはもちろん ドキュメント名・ファイル名は、見ただけで中身が分かるようにするのはもちろんですが、検索のしやすさも考慮するとさらに良くなります。半角英数で並ぶ特徴を生かした規則にするのがおすすめです。特に、アルファベットから始めるとキーを押すだけで、そのフォルダやファイルにカーソルが移動するので、アルファベットを活用するのがオススメです。
保存期間を定義する
最後にドキュメントの保存期間を定義します。定期的に“捨てる日”を作ると、共有フォルダは軽く、検索は速くなります。保存期間の目安として以下のようなものがあります
- 保存年限の目安:
経理/税務=7年、人事=5年、契約=7年、PJ文書=PJ終了+3年、成果物=恒久 - 年1回の棚卸し:
超過分は「アーカイブ」へ移動、不要は削除 - スナップショット:
誤上書きに備え、NAS側で毎時+日次を設定
棚卸しは“断捨離”ではなく事故防止です。期限を過ぎたドラフトや重複ファイルを整理し、本当に必要なものだけを保存することで資料の鮮度が保たれます。
まとめ
ここまで“散らかった資料を片づけるコツ”をお話ししました。ポイントは、置き場を決めて、名前をそろえて、決定版は一か所に固定すること。まずは直近の案件から始めてみてはいかがでしょうか。ほかにも、うっかり消してしまった時に備えたバックアップ、社外共有のやり方も整えて、少しずつ育てていきましょう。


