RPAは人件費削減できる?ロボットの時給を計算してみたら・・・

RPAは人件費削減できる?ロボットの時給を計算してみたら・・・

どうも、コウノ工房のコウノです。
RPAのシナリオ開発をしています。

総務のベテラン社員が定年退職することになったので、「この際、その仕事はロボットにやらせてみてもいいんじゃね?」ってなったのがキッカケです。そんなことできるの?と思いましたが、パンフレットには「人の仕事はロボットがする時代になった」と堂々と書かれています。

普段は「PCが動かない」、「プリンタが詰まった」、「ツールがほしい」など、便利屋的存在でしたので、持ち前の探究心と根性でRPAツールを探して、UiPathをインストール。YouTubeやブログを読んで勉強を繰り返しました。そしてついに、ロボットが自動でシステムに入力する瞬間が訪れます。オフィスにいた全員が「おお〜!」と声を上げたのを、今でも鮮明に覚えています。

それはそれでいい経験だったのですが、そこで私は考えました。「ロボットにやらせるって言うけど、結局いくらかかるの? 本当に人件費削減になるの?」──シンプルに、ロボットの“時給”を算出してみました。

月12万円の根拠(コスト内訳)

私たちの構成はUipathを完全内製化で導入しました。外注はゼロです。結果、コストは次のように整理できます。

コスト内訳(内製・私のケース)
項目内容年間費用の目安備考
UiPath Attended RobotPCに組み込むロボット約30〜40万円1ライセンス
UiPath Orchestrator(クラウド)ジョブ管理・ログ収集・トリガー約40〜50万円運用の要
UiPath Studio開発ツール約30万円社内SEが実装
外注費シナリオ開発・保守0円内製のため不要
合計約100〜120万円/年→ 月10〜12万円

※ 実際の価格は契約形態・ロボット台数・為替等で変動します。ここでは目安としてのレンジを記載しています。

もし外注していたら…
現実には内製できない会社が多数派です。外注に頼った場合の目安も併記しておきます。

参考:外注した場合の年間コスト目安
項目年間費用の目安備考
ライセンス(Robot/Orchestrator/Studio)約100〜120万円内製と同水準
シナリオ開発(初期)50〜200万円数・難易度で増減
保守・運用サポート30〜100万円改修・トラブル対応
合計約180〜400万円/年→ 月15〜30万円前後

理論上の試算:ロボットは人間より圧倒的に安い?

ここから“時給”の話です。月12万円のロボットに、1件5分のデータ入力を24時間365日で任せると──

  • 1時間で12件
  • 1日で288件
  • 1か月(30日)で 8,640件

単純計算で、ロボットの時給は約137円。休憩なし・ミスなしで働く“夢の人材”に見えます。

でも、こんな状況はレアケース

実際の現場には、完全に自動化できる単純作業だけが「一人分」存在することはほとんどありません。

経理のAさんの一日

  • 午前:請求書の確認と印刷、システム入力
  • 午後:交通費申請のチェック、勤怠データ突合せ
  • 夕方:会議・資料作成・社内連絡

このうち、自動化しやすいのは請求書入力交通費チェックのルール部分。一方で会議や資料作成は人の判断が不可欠です。

総務のBさんの一日

  • 入退社に伴うアカウント登録
  • 残業時間のしきい値チェック
  • 社員からの問い合わせ対応・調整業務

ここでも、定型の“チェック&登録”はRPAに向きますが、社員対応や調整は人が必要。ゆえに「人ひとりを丸ごと置き換える」状況はレアなのです。

RPAの本当の価値は「生産性アップ」

ということで、ロボットがごそっと人と入れ替わって働くのは現実的ではないよねというのが私の考察です。それでも私がRPAを推すのは、人が手を動かせない時間にロボットが仕事を進めてくれるからです。

  • 休憩中や会議中に処理:Aさんのランチ中に請求データを整理、会議中に交通費申請を突合せ
  • 夜間のバッチ処理:Bさんの代わりに勤怠集計を回し、翌朝には「残業超過者リスト」を用意
  • 品質の安定化:ヒューマンエラーを抑制し、再作業コストを低減

結果として、同じ時間でもっと価値の高い仕事に集中できる。これが私の考えるRPAの本質です。

まとめ

  • 理論上は月12万円で8,640件と、人件費削減できそうに見える
  • しかし現実はレアケース。多くは「人の仕事の一部」を肩代わりするにとどまる
  • だから導入目的は人件費削減ではなく生産性向上に置くのが正解
  • 休憩・会議・夜間に仕事を進めておける──この積み重ねが働き方を変える

RPAは「人を減らす道具」ではなく、人をもっと活かすためのパートナー。これが私の結論です。

Author Profile

コウノ(
職歴年のIT技術者です。エクセル・Web制作が得意。

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