現役社内SEが語る!情シス部門の役割と具体的な業務内容
コウノ工房のコウノです。
今回は、企業における情報システム部門(情シス)の役割と業務内容について解説します。
情報技術の進化と共に、情シスの重要性はますます高まっています。情シスは単にシステムの運用やトラブル対応を行うだけでなく、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、ビジネスの成長を支える中核的な存在です。
情シスの主な役割は多岐にわたりますが、社内ITインフラの整備と管理を通じて、社員が快適に業務を行える環境を提供するのが最低限のミッションです。また、業務システムの開発・運用・保守や社員からのITに関する問い合わせに対応するヘルプデスク業務も情シスの大事な任務です。
経営戦略と連携し、ITガバナンスの確立やデータドリブン経営の推進も求められています。本ブログでは、情シスの具体的な業務内容やその重要性、そして今後求められるスキルや役割について詳しく見ていきます。情シスの現場からの視点で、皆様の参考になれば幸いです。
なお、情シス部門の役割や業務内容は理解しているから、自社に情シス部門を立ち上げたり、適切な運用がしたいというかたは、下記リンクからメッセージください。
情シスの役割と重要性
情シス(情報システム部門)は、企業のIT戦略を推進し、業務の効率化や競争力の向上を図るために重要な役割を担っています。情シスが果たすべき役割とその重要性について詳しく見ていきましょう。
まず、情シスは企業内の情報システム全般を管理し、各部門が円滑に業務を遂行できるよう支援することが求められます。具体的には、業務プロセスの自動化、データ管理、ネットワークの整備、セキュリティ対策など多岐にわたる分野で活動します。これにより、企業のIT基盤が強固になり、ビジネスの成長を支えることが可能となります。
情シスの主な業務内容
情シスの業務内容は非常に多岐にわたります。主な業務内容を実体験に沿って具体的に紹介します。
ヘルプデスク・トラブル対応
ヘルプデスクは、社員からのIT関連の問い合わせやトラブルに対応する窓口です。問い合わせやトラブル連絡をインシデントと呼ぶ組織もあります。
例えば、パソコンの故障、ソフトウェアの操作方法、ネットワークの接続不良などの問題に対応します。インシデント対応は、社員が業務を円滑に進めるために欠かせないサポートです。
よくあるインシデントを紹介します。
- 基幹システムのパスワードを忘れたので再発行してほしい
- Web会議を始めたいが、マイク・カメラが反応しないので確認してほしい
- プリンタから資料が印刷されない
難易度は高くありませんが、上記のような問い合わせが毎日のようにヘルプデスクに寄せられると、電話応対だけでもかなりの時間を要してしまいます。社内SEとして働くエンジニアが費やす時間の7割は「ヘルプデスク・トラブル対応」に追われているのでは?という実感です。IT推進などコア業務に注力できないのは経営者を悩ませる課題となっています。
社内ITインフラの管理
社内ITインフラの管理は、情シスの中心的な業務内容です。
ITインフラとは、サーバー、ネットワーク機器、通信回線、データセンターなどを含む企業の基盤となる技術基盤のことです。これらのインフラを適切に管理し、メンテナンスを行うことで、安定したIT環境を提供します。例えば、定期的なバックアップの実施やシステムのアップデート、障害発生時の迅速な復旧対応などが含まれます。
パソコン・スマートフォンの調達・キッティングは、頻出の業務ですので、販路や設定手順の確立が求められます。
社内システムの開発・運用・保守
社内システムの開発・運用・保守も、情シスの重要な業務内容の一つです。
企業の業務効率を向上させるために、専用のソフトウェアやシステムを開発し、それを日常的に運用・保守します。例えば、営業管理システムや顧客管理システムの開発、既存システムの機能追加やバグ修正、定期的なシステムメンテナンスなどが挙げられます。
VBAによる業務補助ツールがある職場は非常に多く、VBAコーディング(Excel、Access)は情シス部門で働くエンジニアの必須能力です。
セキュリティ対策
情報セキュリティの確保は、情シスの最も重要な業務内容の一つです。企業の情報資産を守るために、セキュリティ対策を徹底することが求められます。例えば、ウイルス対策ソフトの導入・管理、不正アクセスの防止、データの暗号化、社内ネットワークの監視などを行います。また、社員に対するセキュリティ教育や定期的なセキュリティ監査も重要な業務の一環です。
システム企画・IT推進の立案
システム企画・IT推進の立案は、企業のIT戦略を成功させるために欠かせない業務内容です。情シスは、企業の経営戦略に基づき、ITを活用した業務改善や新規事業の推進を計画します。例えば、新しいシステム導入の提案や既存システムの改善策の提案、IT予算の策定などを行います。これにより、企業全体の生産性向上や競争力強化を図ります。
情シスが抱える課題とその対策
情シスは多岐にわたる業務を抱える一方で、さまざまな課題にも直面しています。以下に、主な課題とその対策について紹介します。
人手不足とスキル不足
情シスの大きな課題の一つは、人手不足とスキル不足です。ITの進化が急速である一方で、必要なスキルを持つ人材の確保が難しい現状があります。この課題に対しては、定期的な社員研修や外部の専門家の活用、ITベンダーとの協力関係の強化などが効果的です。また、リモートワークの推進により、地理的な制約を超えて優秀な人材を確保することも一つの解決策です。
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業務過多
情シスは多岐にわたる業務を抱えるため、業務過多に陥ることが多々あります。この課題を解決するためには、業務の優先順位を明確にし、効率的に業務を進めることが重要です。例えば、プロジェクト管理ツールを活用してタスクの進捗状況を把握したり、ルーチンワークを自動化するためのツールを導入したりすることが有効です。
経営層からの理解不足
情シスが抱える課題の一つに、経営層からの理解不足があります。IT投資の重要性や効果が経営層に伝わらない場合、必要なリソースや予算が確保できないことがあります。この課題に対しては、定期的な報告会やプレゼンテーションを通じて、情シスの取り組みや成果を経営層にアピールすることが重要です。データや具体的な成功事例を用いることで、説得力を高めることができます。
今後の情シスの展望と必要なスキル
情シスの役割はますます重要性を増しており、今後も多くの新しいスキルと知識が求められます。以下に、今後の情シスの展望と必要なスキルについて解説します。
デジタル戦略の立案と推進
デジタル戦略の立案と推進は、情シスの今後の重要な役割です。デジタル化の進展に伴い、企業の競争力を維持・向上させるためには、デジタル戦略が欠かせません。デジタル戦略を効果的に推進するためには、デジタル技術の深い理解と、それを業務に適用するための実践的なスキルが必要です。
サイバーセキュリティの強化
サイバーセキュリティの脅威が増大する中、セキュリティ対策の強化は情シスの重要な課題です。高度なサイバー攻撃に対抗するためには、最新のセキュリティ技術や対策を常に学び、実践することが求められます。また、社員全体のセキュリティ意識を高めるための教育も欠かせません。
ITガバナンスとリスク管理
ITガバナンスとリスク管理は、企業のIT運用を健全に保つために重要です。ITガバナンスとは、企業のIT資源を効果的に管理し、リスクを最小化するための仕組みのことです。これには、ポリシーやプロセスの整備、内部統制の強化、定期的なリスク評価が含まれます。
クラウドサービスの最適化
クラウドサービスの利用は企業にとって不可欠なものとなっています。情シスは、クラウドサービスの選定、導入、運用、最適化を行うことが求められます。クラウドサービスを効果的に活用するためには、クラウドの特性やメリットを理解し、適切なサービスを選択・運用するスキルが必要です。
データドリブン経営の推進
データドリブン経営とは、データに基づいて意思決定を行う経営手法です。情シスは、企業内のデータを収集・分析し、経営層に対して有益なインサイトを提供する役割を担います。データ分析のスキルやビッグデータの活用方法を学ぶことが重要です。具体的な施策としてBIツールの導入が進んでいます。
まとめ
情シスは企業のIT戦略を支え、業務効率化や競争力向上を図るために重要な役割を果たしています。その業務内容は多岐にわたり、ヘルプデスク、ITインフラ管理、システム開発、セキュリティ対策などを含みます。情シスが抱える課題には、人手不足、業務過多、経営層からの理解不足などがありますが、適切な対策を講じることで解決可能です。今後の情シスには、デジタル戦略の推進、サイバーセキュリティの強化、クラウドサービスの最適化、データドリブン経営の推進など、新たなスキルと知識が求められます。これらのスキルを身につけ、企業全体のIT推進力を高めることが、情シスの未来を切り開く鍵となります。
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